カスハラ基本方針の例文と書き方(無料ひな形つき)

公開:最終更新:カスハラ対策チェック

結論

基本方針には、少なくとも「カスハラには毅然と対応し、従業員を守る」という宣言(指針4⑴イ)、特に悪質な場合の対処の方針(4⑷)、相談者のプライバシー保護と、相談を理由に不利益な扱いをしないこと(4⑸)を入れます。

カスハラの定義と具体例、録音・録画をすることがある旨も書いておくと、従業員にもお客様にも伝わりやすくなります。日付と代表者名を入れ、全員に配って説明します。

基本方針に入れる内容

厚生労働省の指針(令和8年厚生労働省告示第51号)の措置のうち、基本方針で対応しやすいのは次の項目です。

入れる内容指針の根拠
カスハラには毅然とした態度で対応し、従業員を守る4⑴イ(措置①)
カスハラの定義と、あたる行為の例4⑴ロ(措置②)、2⑴・2⑸
特に悪質な場合の対処(警告、販売・サービスのお断り、出入りのお断り、警察への通報など)4⑷(措置⑧)
相談者のプライバシーを守る4⑸イ(措置⑨)
相談や事実確認への協力などを理由に、解雇その他の不利益な扱いをしない4⑸ロ(措置⑩)

悪質な場合の対処方針は、現場での対処の内容と同じ文書で定めてもかまいません(厚生労働省Q&A 問16)。

あわせて入れておくとよい内容は次のとおりです。

  • 正当なご意見には誠実に対応すること:指針は、社会通念上許容される範囲のご意見は「正当な申入れ」でありカスハラにあたらないとしています。お客様向けにも、この点を最初に書いておくと角が立ちません。
  • 録音・録画をすることがある旨:Q&A(問9・10)は、録音・録画を事実確認に使う場合があることを、個人情報の利用目的としてできる限り特定し、通知または公表することを求めています。
  • 自店の従業員も他社の従業員にカスハラをしないこと:指針6⑷で「望ましい」とされています。

例文(小さな店向け)

以下は、本サイトの無料ひな形の要点です。【 】の部分を店に合わせて書きかえてください。

カスタマーハラスメントに関する基本方針

【店名】(以下「当店」)は、お客様からいただくご意見・ご要望を、商品やサービスをより良くするための大切な声として受け止め、これからも誠実に対応いたします。

一方で、一部のお客様等による社会通念上許容される範囲を超えた言動は、従業員の尊厳を傷つけ、働く環境を害するものです。当店は、カスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、従業員を守ります。

1. 定義 当店は、厚生労働省の指針にもとづき、お客様等の言動であって、社会通念上許容される範囲を超えたものにより、従業員の就業環境が害されるものをカスタマーハラスメントとします。店頭だけでなく、電話、メール、SNSでの言動も含みます。

2. 例 暴言・脅迫・侮辱、土下座の強要、大声での威圧、同じ要求の執拗な繰り返し、長時間の居座りや電話での拘束、SNSへの悪評の投稿をほのめかす脅し、従業員の無断撮影など(これらに限りません)。

3. 対応 カスタマーハラスメントにあたると判断した場合は、対応を打ち切り、以後の販売やサービスの提供をお断りすることがあります。特に悪質な場合は、警告、店舗への出入りのお断り、警察への通報、弁護士への相談など、法令にもとづき対応します。事実を確認するため、やり取りを録音・録画することがあります。

4. 従業員を守る取組 従業員を一人で対応させず、責任者が代わって対応します。相談窓口(担当:【氏名】)を設け、相談した人のプライバシーを守り、相談や事実確認への協力を理由に不利益な取扱いをしません。

制定日:【年月日】 【店名】代表者:【氏名】

店に合わせて書きかえるポイント

ひな形をそのまま配るだけでは、措置義務を果たしたことにはなりません(厚生労働省Q&A 問20。くわしくはこちら)。少なくとも次の点は、店の実情に合わせて決めてから書き込みます。

  1. 店名・代表者名・制定日:誰の方針かを明確にします。
  2. 相談の担当者:店長やオーナーの名前と連絡方法。不在のときの連絡先も決めます。
  3. 店で実際に起きている場面:長時間の居座り、同じ内容の電話の繰り返し、スタッフの無断撮影など、店で困っている場面を例に入れると、従業員が判断しやすくなります。
  4. 悪質な場合に誰が判断するか:警告や出入りのお断りを決めるのは誰か。指針4⑷は、対処の方針に加えて、それを実行できる体制を求めています。
  5. 業法上の制限:医療機関など、法令でサービスの提供を拒めない場合がある業種は、「法令の制限内で」と書きます。

お客様向けに掲示するか

方針をお客様に知らせることは義務ではありません。ただし指針は、方針を顧客等に周知することも被害の防止に効果的だとしています(厚生労働省Q&A 問7)。店頭やホームページに掲示する場合は、社内向けの方針から、お客様へのお願いと録音・録画の利用目的を中心にまとめた短い版を作ると読みやすくなります。

作ったら、全員に伝える

方針は作っただけでは措置になりません。管理職を含む全従業員に配り、説明します。説明した日と参加者を記録し、確認書に署名をもらっておくと、労働局に説明するときの記録になります。

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参考資料(一次資料)

  1. 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(カスハラ防止指針)(厚生労働省告示第51号(令和8年2月26日告示、令和8年10月1日適用))
    https://www.mhlw.go.jp/content/001662625.pdf
  2. ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について(Q&A)(厚生労働省 雇用環境・均等局(令和8年4月24日、令和8年9月30日改訂))
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001695619.pdf
  3. カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)(厚生労働省(令和8年9月))
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf

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