東京都カスハラ防止条例と国の義務の違い・奨励金
東京都の条例(2025年4月1日施行)は「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない」と定め、事業者には取組を求めていますが、罰則はありません。一方、国の改正労働施策総合推進法(2026年10月1日施行)は、全国すべての事業主に、厚生労働省の指針が定める措置を法律上の義務として課しています。
東京の店は、まず国の義務(指針の10項目)を満たし、そのうえで都の指針の取組を足すのが効率的です。都内の中小企業等には、マニュアル作成などを要件とする40万円の奨励金があり、第2回の受付は2026年10月23日から11月6日までです。
条例と国の義務の違い
| 東京都 カスハラ防止条例 | 国 改正労働施策総合推進法 | |
|---|---|---|
| 施行 | 2025年4月1日 | 2026年10月1日 |
| 対象地域 | 東京都内 | 全国 |
| 誰に向けた決まりか | すべての人(顧客等)、事業者、就業者、都 | 事業主(措置義務)。顧客等には努力義務(第34条第5項) |
| 事業者に求めること | 都の指針に沿った取組(努力義務) | 指針の5つの措置・10項目(法的義務) |
| 守る対象 | 就業者(従業員のほか、個人事業主なども含む広い範囲) | 事業主が雇用する労働者 |
| 罰則 | なし | 措置を講じないこと自体の罰則はなし。勧告に従わない場合の公表、報告拒否・虚偽報告は20万円以下の過料 |
条例はカスハラを「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と定義しています。国の指針の定義(社会通念上許容される範囲を超えた言動により、労働者の就業環境が害されるもの)とは表現が違いますが、方針を作るときは国の定義を軸にし、都の定義を併記しておけば両方に対応できます。
東京の店がやること
国の措置義務は東京の店にもそのままかかります。そのうえで、東京都の指針(ガイドライン)が事業者の取組として挙げている内容のうち、国の10項目と重ならない部分を足すと、両方を満たせます。
- 自社の従業員が他社にカスハラをしない旨の明示:国の指針でも「望ましい」取組とされています。
- 現場の初期対応の手順:上司への交代、記録の取り方など。
- 社内の報告と、本部・警察への連絡の手順
- 就業者の安全確保と、事後の心身のケア
- 定期的な研修と、再発防止の見直し
東京都は、業界団体や事業者がマニュアルを作るための「各団体共通マニュアル」と、事業者マニュアルのひな形も公開しています。
東京都の奨励金(40万円)
東京都は、カスハラ対策に取り組んだ都内の中小企業等に奨励金を支給しています。2026年9月8日の都の発表によると、第2回の募集内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 金額 | 40万円 |
| 対象 | 都内中小企業等(常時雇用する従業員300人以下) |
| 対象となる取組 | カスタマーハラスメント対策マニュアルの作成(必須)に加え、次のいずれか1つ:録音・録画環境の整備/AIを活用したシステム等の導入/外部人材の活用 |
| 対象期間 | 条例施行日(2025年4月1日)以降に行った取組 |
| エントリー期間 | 2026年10月23日(金)〜11月6日(金)。先着順ではなく、支給申請は抽選により複数回に分けて受け付け |
| 募集規模 | 5,000件。都は、今回で本事業の募集を終了する予定としています |
要件の細部(マニュアルに必要な項目、社内外への周知の方法、提出書類)は、必ず東京都の募集要項で確認してください。上の表は都の報道発表の要約です。
奨励金の前にそろえておくもの
- カスハラ対策マニュアル:国の指針の10項目と、都の指針の取組を含めたもの。
- 基本方針:社内への周知に加え、店頭掲示やホームページなどでの社外への周知も意識して作ります。
- 周知した記録:配布日、説明した日、参加者。
- 選んだ取組の証拠:録音・録画機器の購入書類など。
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無料で診断する参考資料(一次資料)
- 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和6年東京都条例第140号)(東京都(令和6年10月11日公布、令和7年4月1日施行))
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2024/09/2024091121 - カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)・各団体共通マニュアル(東京都 産業労働局)
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/plan/kasuharashishin/index.html - カスタマーハラスメント防止対策推進事業(奨励金)第2回募集(東京都(令和8年9月8日発表))
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/09/2026090803 - 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)(e-Gov法令検索(令和8年10月1日施行版))
https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132 - 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(カスハラ防止指針)(厚生労働省告示第51号(令和8年2月26日告示、令和8年10月1日適用))
https://www.mhlw.go.jp/content/001662625.pdf
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