飲食店のカスハラ対策|場面別の対応と言い回し

公開:最終更新:カスハラ対策チェック

結論

飲食店も、2026年10月1日から厚生労働省の指針の5つの措置が義務です。アルバイト中心の店でも、方針と対応の仕方を決めて全員に伝え、相談先を決めておく必要があります。

農林水産省のガイドブックは、対応の打ち切りは30分を目安に退店をお願いすること、同じ問い合わせが続く場合は3回目に対応できない旨を伝えることを示しています。店で起きやすい場面ごとに、言い回しと報告先を決めておくのが実用的です。

飲食店で決めておくべきこと

飲食店はアルバイトやパートの比率が高く、夜間や早朝に少人数で営業する時間帯もあります。指針の措置のうち、特に次の3つは「その場で誰が何をするか」まで具体的に決めておかないと機能しません。

  • 対処の内容(措置②):どんな言動がカスハラか、そのとき店長に代わる、退店をお願いする、警察に通報する、などの手順。
  • 相談窓口(措置③):店長、不在のときはエリアマネージャーやオーナー。連絡先をバックヤードに掲示します。
  • 悪質な場合の対処(措置⑧):出入りのお断りや警告を、誰が判断するか。

場面別の対応

場面対応の基本
オーダーミスなどをきっかけに、スタッフを侮辱する店のミスの部分だけを謝り、侮辱する発言はやめてほしいと伝える。続く場合は責任者に交代する
常連客がスタッフの連絡先やプライベートを聞く個人的なことにはお答えしていない、と店のルールとして断る。続く場合は責任者に報告する
無断で厨房やスタッフ、他のお客様を撮影する撮影をやめてほしいと伝える。厚生労働省Q&A(問5)は、撮影自体は直ちにカスハラにあたらず、やめるよう言われても続ける場合などが該当し得るとしている
大声で騒ぐ、凄む他のお客様と営業に支障があることを伝え、声を落とすようお願いする。威圧が続けば責任者が対応し、退店をお願いする
「誠意を見せろ」と作り直しや返金を繰り返し求める店としてできることとできないことを一度はっきり伝える。同じ要求が続く場合は、回数の目安を決めて対応を打ち切る
長時間居座る、閉店後も帰らない説明を尽くしたうえで、時間の目安を超えたら退店をお願いする。応じなければ警察に通報する
殴る、物を投げる、「殺す」などと脅す時間の目安を待たず、すぐ110番。スタッフの安全を最優先にする

農林水産省のガイドブックは、打ち切りの時間を30分、繰り返しの問い合わせは3回目に対応できない旨を伝える、という目安を示しています。厚生労働省の企業マニュアルも、時間の目安は各社で設定するものとしています。店の実情に合わせて決め、マニュアルに書いておきましょう。

言い回しの例

  • 「当店の不手際につきましては申し訳ございません。ただ、スタッフへのそのようなお言葉はお控えください。」
  • 「スタッフの個人的な連絡先は、お答えしないことになっております。」
  • 「スタッフや他のお客様が映る撮影はご遠慮ください。」
  • 「これ以上は、私では判断できません。責任者に代わります。」
  • 「ご要望にはお応えできません。本日はお引き取りください。」
  • 「お帰りいただけない場合は、警察に連絡します。」

謝るのは、店側に非がある部分に限ります。土下座の要求は、店に不手際があっても応じる必要はありません(指針は土下座の強要をカスハラの例として挙げています)。

店づくりでできること

  • 店内掲示:カスハラには応じない旨の掲示や「防犯カメラ作動中」の表示は、抑止に役立ちます。お客様への方針の周知は義務ではありませんが、厚生労働省も効果的としています(Q&A 問7)。
  • 名札:フルネームを表示しない(名字だけ、イニシャルだけにする)方法があります。大手コンビニチェーンなどで導入例があります。
  • 記録:防犯カメラの映像は上書きされる前に保存し、記録シートに日時・内容を残します。
  • ワンオペの時間帯:深夜や早朝に1人になる時間帯は、別の手順を決めておきます(1人勤務のときの対応)。

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参考資料(一次資料)

  1. 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(カスハラ防止指針)(厚生労働省告示第51号(令和8年2月26日告示、令和8年10月1日適用))
    https://www.mhlw.go.jp/content/001662625.pdf
  2. ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について(Q&A)(厚生労働省 雇用環境・均等局(令和8年4月24日、令和8年9月30日改訂))
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001695619.pdf
  3. すぐに使える!飲食店のカスハラ対策ガイドブック(ダイジェスト)(農林水産省)
    https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/kasuhara_taisaku-2.pdf
  4. カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)(厚生労働省(令和8年9月))
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf

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