カスハラ対策をしないとどうなる?罰則と助言・指導・勧告・公表

公開:最終更新:カスハラ対策チェック

結論

措置を講じていないこと自体に、罰金や過料はありません。ただし、労働局の助言・指導・勧告の対象になり、勧告に従わない場合は、その旨が公表されることがあります(労働施策総合推進法 第42条)。

また、労働局から実施状況の報告を求められたのに報告しない、または虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料の対象です(第45条第1項・第51条)。

労働局の対応の流れ

カスハラの措置義務(第33条第1項)を守っていない事業主に対して、法律が定めている対応は次のとおりです。法律上は厚生労働大臣の権限ですが、その一部は都道府県労働局長に委任できるとされており(第46条)、実際の窓口は各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。

段階内容根拠
1. 報告の求め措置の実施状況について報告を求められる第45条第1項
2. 助言・指導不足している措置を講じるよう、助言や指導を受ける第42条第1項
3. 勧告指導に従わない場合などに、勧告を受ける第42条第1項
4. 公表勧告に従わない場合、その旨が公表されることがある第42条第2項

第42条第2項は、第33条第1項・第2項に違反している事業主が勧告に従わなかったとき、厚生労働大臣は「その旨を公表することができる」と定めています。

20万円以下の過料になるのはどんなとき?

第51条は、第45条第1項による報告をせず、または虚偽の報告をした者を、20万円以下の過料に処すると定めています。対象になるのは「報告しない」「うその報告をする」ことで、措置を講じていないことそのものではありません。

過料は行政上の秩序罰で、刑事罰の罰金とは異なります。「カスハラ対策をしないと罰金」という説明を見かけることがありますが、条文上は正確ではありません。

第四十五条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。労働施策総合推進法 第51条

罰則がなくても対策が必要な理由

罰金がないからといって、何もしなくてよいわけではありません。

  • 企業名の公表:勧告に従わず公表されると、採用や取引に影響します。
  • 報告の求めは突然来る:労働局の報告の求めは、従業員からの相談がきっかけになることもあります。そのときに方針や記録がないと、説明ができません。
  • 労災と損害賠償:カスハラによる精神障害は、労災認定の対象になり得ます。対策を怠っていると、事業主の安全配慮義務違反を問われるおそれもあります。
  • 人が辞める:守ってくれない職場からは人が離れます。「スタッフを守る店」であることは、求人でも強みになります。

してはいけないこと:相談した従業員への不利益な扱い

第33条第2項は、従業員がカスハラについて相談したことや、事実確認に協力して事実を述べたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。これも第42条第2項の公表の対象になる規定です。

指針は、この不利益取扱いをしない旨を定め、従業員に伝えることを措置の一つ(措置⑩)としています。基本方針や就業規則に一文を入れておきましょう。

お客様側に罰則はある?

改正法は、お客様など「顧客等」にも、従業員の就業環境を害さないよう必要な注意を払う責務を定めました(第34条第5項)。ただし、これは努力義務で、罰則はありません。暴行・脅迫など犯罪にあたる行為は、カスハラかどうかにかかわらず刑法などで処罰の対象になります。

まず何をすればよいかは、中小企業・店舗がやること5つで解説しています。

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参考資料(一次資料)

  1. 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)(e-Gov法令検索(令和8年10月1日施行版))
    https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132
  2. 労働施策総合推進法等の一部を改正する法律の概要(厚生労働省(令和7年6月11日公布))
    https://www.mhlw.go.jp/content/10501000/001695672.pdf
  3. カスタマーハラスメント・求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置 リーフレット(厚生労働省)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662580.pdf

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